古着屋の値札を見て、思わず二度見した経験。価格に驚いて入りづらいと感じる方は少なくありません。
「高すぎる」と気構えてしまう気持ちは自然なものです。けれど古着の値段には、仕入れ・状態・希少性に基づく根拠が必ずあります。
この記事では、古着が高騰している4つの理由と適正価格の見極め方を、古着屋店主の視点でお話しします。価格まで納得して古着を選びたい方は、参考にしてみてください。



価格の背景には、店主それぞれの仕入れ・状態判断・希少性の見立てがあります。値段だけ見て「高い」と決めず、その背景を一緒に見ていきましょう。
- 古着の高騰には希少性・輸入コスト・需要急増・素材の4要因が絡む
- ブランド別ではChampion・Patagonia・Levi’sが高額化しやすい
- 適正価格は年代×状態×希少性の3点で見極める
- 仕入れルートで値段差が出る。倉庫直は安く、国内卸は高め
- 古着屋で賢く買うなら高騰前と国内仕入れの店を狙う
米仏ワークウェアやブロカントを月に数本、現地から仕入れています。仕入れの記録をLINEでお送りします。
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古着がなぜ高い?高騰の4つの根本理由


古着が高くなったと感じるのは、ひとつの理由ではなく複数の要因が積み重なった結果です。希少性・コスト・需要・素材の4つを軸に整理すると、なぜここまで高騰しているのかの全体像が見えてきます。
- 希少性が高いヴィンテージ品だから
- 海外輸入コストが価格に上乗せされるから
- 古着ブームで需要が急増しているから
- 現代では再現不可能な品質や素材だから
4つは独立した要因ではなく、互いに絡み合って相場を押し上げています。
希少性が高いヴィンテージ品だから
ヴィンテージは年代を経るほど現存数が減り、サイズ・色・状態の組み合わせがほぼ唯一無二になっていきます。日常で着られ、洗濯され、最後は廃棄されてきた歴史を経て、生き残った個体だけが市場に流通している構造です。同じ条件のもう一着が世界のどこにも残っていない場合もあるほど。需要に対して供給が増えない構造そのものが、相場を底支えしています。
海外輸入コストが価格に上乗せされるから
ヴィンテージの多くはアメリカやヨーロッパからの輸入品です。為替レート・関税・コンテナ送料・現地バイヤーの渡航費と人件費が販売価格に乗ってきます。為替が円安に振れるたびに仕入れ原価そのものが押し上げられ、コンテナ送料もコロナ禍以降に高止まりしたまま戻りきっていません。選別眼を経た一着には、現地を歩いた海外バイヤーの目利きへの対価まで含まれる構造です。
私が高校生だった2005年前後は、Levi’s 66前期が3万円、90年代Champion リバースウィーブが5,000円ほどで店頭に並んでいました。当時は今より為替が穏やかで、輸入にかかる負担そのものが軽い時代でした。市場では同条件の品が倍近い価格になる現実を、日々目にしている状態です。古着ブーム・円安・世界情勢の三重要因が、ここ数年で相場をじわじわ押し上げてきました。
古着ブームで需要が急増しているから
ここ数年、ファッション誌やSNSで古着の露出が増え、若年層を中心に裾野が一気に広がりました。大手古着チェーンの全国出店、フリマアプリでの個人販売、海外勢の買い付け流入と、需要側のプレイヤーが急増した結果、相場全体が底上げされています。メルカリやヤフオクで「これは○万円で売れる」という相場感がスマホひとつで参照できる時代では、安値で出る個体そのものが減ってきました。
正直なところ、値段と品揃えで大手チェーンやフリマアプリに太刀打ちするのは個人店には難しい局面です。「フリマアプリのほうが安い、わざわざ古着屋で買う意味なんてない」と思う方がいるのも自然な認識でしょう。だからこそ私は、「この人から買いたい」と思っていただけるような店作りを大切にしたいと考えています。値段競争ではなく、値段競争はせず、物語と対話で選ばれる店でありたい、と私は考えています。
現代では再現不可能な品質や素材だから
当時のセルビッチデニム、ヘビーオンスで仕立てられたチノクロス、極太糸で編まれたリバースウィーブ。素材そのものが、現代の量産ラインでは再現できないものが多く存在します。コスト効率を優先する大量生産が主流となった結果、生地厚や縫製にかかる原価工程が省かれてきたためです。「使い込むほどに表情が変わる」魅力は、当時の素材と縫製でなければ味わえません。
高騰の理由を踏まえると、ブーム自体が今後どう動くかも気になるところ。市場の現状はこちらでまとめました。
ブランド別|古着が高いブランドの相場と20年前との対比


古着の高騰は全体傾向ですが、ブランドや年代によって上がり方には差があります。Champion・Levi’sは、私が高校生だった20年前と比べて相場が大きく動いてきた代表格です。Patagoniaも、いまフリース系の旧モデルを中心に高額化が進んでいます。
- Championの古着が高い理由
- Patagoniaの古着が高い理由
- Levi’sのデニムが高い理由
- その他高額になりやすいブランド一覧
まずはChampion・Levi’sについて、20年前と現在でどれくらい相場が動いたかを表でひと目で確認します。
| ブランド・モデル | 20年前(2005年頃) | 現在の相場 |
|---|---|---|
| Champion リバースウィーブ(90年代) | 5,000円ほど | 1万7,000〜2万3,000円 |
| Levi’s 501 66前期 | 3万円ほど | 3万〜8万円 |
Championの古着が高い理由
Championで高額化しているのは、80〜90年代のリバースウィーブと呼ばれるスウェット類です。横編みの極太糸とサイドパネル構造で、洗っても縮みにくく肉厚な質感が長く保たれます。クロスステッチやランナーズタグといった年代判別ポイントが古いほど、希少性は跳ね上がっていく仕組み。同じリバースウィーブでも、年代判別ディテールがそろった個体は別格の評価になります。
私自身、Championはシンプルなロゴ周りのデザインが好みです。目あり・目なしのリバースウィーブで状態のよい個体が見つかったら仕入れるようにしています。派手なプリントよりも、無地に近い佇まいの一着のほうがLOGUEには合うと考えています。
Patagoniaの古着が高い理由
Patagoniaは、レトロX・スナップT・シンチラといったフリース系の旧モデルが高額化の中心です。リサイクルポリエステルや独自のフリース素材は、現行ラインと旧モデルで質感が異なり、昔のもののほうがしっかりしていると評価される個体も少なくありません。状態の整った90年代のスナップTは2万円前後が中心で、レアな配色や年代の個体は3万円を超える相場感に乗ってきています。
正直に書くと、LOGUEではPatagoniaは積極的に扱う予定がありません。アウトドアの文脈で愛されているブランドで、フリース系の旧モデルを真剣に探している方は、Patagonia専門の在庫を抱える古着屋を当たるほうが間違いないはずです。
Levi’sのデニムが高い理由
Levi’sは501や505のなかでも、年代判別のディテールを持つ個体が高額化の中心です。革パッチは1950年代以前の古い個体に付く後ろの皮タグ。BIG Eは1971年以前の赤タブに使われていた大文字Eの表記です。66前期は1973〜76年頃の代表モデル(こちらの赤タブはスモールe)、赤耳は1980年代中頃まで使われていたセルビッチデニムの赤い縁を指します。それぞれ年代の重ならない別の特徴ですが、いずれも「現存する個体が確実に減っていく」点で相場を支えてきました。セルビッチデニムの織機や染色技術が現代量産品では再現しきれないこともあり、Levi’sはヴィンテージ市場の象徴的存在として価格を牽引しています。
私はLevi’sを定番として年代物を揃えるより、リペアの跡が残るものや、自分が惚れ込んだ一着が見つかったときに仕入れる方針です。直された痕跡そのものが、その501が誰かと過ごしてきた時間を物語る。価格より、その服が背負ってきた歴史を選びたいと考えています。
その他高額になりやすいブランド一覧
3大ブランド以外にも、カルチャー的価値で相場を持っているブランドがあります。共通するのは「再生産されない・希少カラー・復刻不可」という条件です。
- HARLEY-DAVIDSON のヴィンテージTシャツ・スウェット
- Hard Rock Cafe の都市限定Tシャツ
- HTC のスタッズベルト・レザー類
- リアルマッコイズ系の復刻モデル
- 米軍・仏軍などの実物ミリタリー
これらは年代やカラー、サイズ感がぴたりとハマると一気に値が跳ね上がるカテゴリ。「高そう」と感じたら、まず希少条件を確認するのが先です。
Levi’sについては、購入先の選び方も含めてこちらでまとめています。
古着の値段は妥当か?適正価格を見極める判断軸


古着の値段が「妥当」なのか「ぼったくり」なのかを判断するには、いくつかの軸を組み合わせる必要があります。直感だけで決めると後悔の原因になるので、3つの視点をひとつずつ押さえていきます。
- 年代とコンディションのバランスを確認する
- フリマアプリやオークションで相場を調べる
- 定価販売の店主が示す価格の意味を読み解く
3つの視点はバラバラに使うものではなく、組み合わせて初めて「妥当性」が見えてくるものです。
年代とコンディションのバランスを確認する
古着の価格は年代の古さと状態のよさ、両方の組み合わせで決まります。年代が古くても穴あきや色抜けがひどければ価値は下がり、新しめでもデッドストック級なら相場は上がる。たとえば60年代物でも生地が薄く透けているものは、80年代物の状態極上品より安く流通することもあります。「古い=高い」「綺麗=高い」のどちらか一方だけで判断しないのが基本姿勢です。
フリマアプリやオークションで相場を調べる
気になる一着があったら、メルカリ・ヤフオク・eBayで同じブランド・モデル・年代で検索してみるのが確実な方法。とくに重要なのは「販売中」ではなく「売却済み」の価格を確認することです。出品中の値段は売り手の希望価格で、実際に取引された値段とはズレることが多いから。サイズ・年代・状態が近い個体を5〜10件ほど見ると、相場の中央値が体感としてつかめてきます。
定価販売の店主が示す価格の意味
定価販売を貫いている古着屋には、仕入れ・状態・希少性をふまえた値付けの根拠があります。値段を下げないのは強気だからではなく、その価格に対して責任を持っている意思表示でもあるのです。
LOGUEも定価販売を貫いています。値引き対応をしないと決めているのは、一着ずつ見立てた値付けの根拠を、その場の交渉で曖昧にしたくないからです。価格には仕入れ・状態・希少性の見立てが詰まっていて、それを駆け引きで動かしてしまうと、自分の目利きへの責任を放棄することと同じになる気がしています。
値引き交渉を含む古着屋ならではの作法は、こちらでまとめました。



同じ服がフリマアプリで安く出ているのを知った上で、それでも定価で買ってくださる方がいます。その方の選択に応えられる仕入れと値付けでいたい。これがLOGUEの定価販売を支える背骨です。
同じ古着でも値段が違う理由は仕入れルート


同じブランド・同じ年代の古着でも、店によって値段が違う最大の要因は仕入れルートの違いです。原価そのものがルートごとに大きく変わるため、販売価格の差として素直に表れてきます。
| 仕入れルート | コスト | 必要な労力 | 安定供給 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 倉庫直仕入れ | 低い | 渡航・選別・通関 | 不安定 | 安いけど誰でもできるわけじゃない |
| スリフト・フリマ | とても低い | 1日数枚レベル | 不安定 | 安いけど効率が悪すぎる |
| 国内卸業者 | やや高い | 少量から発注可 | 安定 | 楽だけど値段は高め |
| ディーラー買い取り | 高い | 選別眼が必要 | 高品質 | 上質なアイテムが手に入る |
ルートごとに「安いけど不安定」「高いけど安定」のトレードオフが明確に分かれる場面です。LOGUEの仕入れ方針にも触れつつ、4ルートを掘り下げます。
倉庫直仕入れが一番安いけど誰でもできるわけじゃない
倉庫直仕入れは、海外の古着倉庫に直接出向き、ベール単位やコンテナ単位で買い付けるルート。一着あたりの単価が最も低く抑えられるのが強みです。ただし渡航費・現地宿泊費・選別の時間・コンテナ送料・通関手続きが重く乗ってくる。語学力と現地ネットワーク、数百万単位の運転資金がそろっていないと回せない世界でもあります。
スリフトやフリマは安いけど効率が悪すぎる
海外のスリフトショップ(チャリティショップ)やフリーマーケットを巡る方法は、一着数十円から数百円という原価の安さでは群を抜くルートです。趣味で掘る分には宝探し感覚で楽しめます。ただし、1日歩き回って手に取れる売れ筋の一着はせいぜい数枚。在庫を継続的にまわす店経営の仕入れルートとしては、効率が悪すぎるのが現実です。
日本の卸業者から仕入れると楽だけど値段は高め
日本国内の古着卸業者から仕入れるルートは、言語の壁がなく少量から発注できるのが最大の利点です。一着あたりの原価は倉庫直よりも上がりますが、現物確認のうえ仕入れられる点と供給の安定度で勝ります。
LOGUEも現時点では、この国内卸ルートを仕入れの主軸にしています。海外の倉庫直仕入れにも挑戦したい気持ちはありますが、規模の段階として段階的に広げていく方針。隠さず正直に伝えるのも、定価販売の根拠を示す姿勢と地続きだと考えています。
ディーラー買い取りは高いけど上質なアイテムが手に入る
個人ディーラーやコレクターから直接買い付けるルートは、一着あたりの単価がもっとも高くなりますが、状態の整った希少品が手に入りやすいのが強み。ディーラー側もその価値を熟知しているので、安く譲ってもらうのは難しい代わりに、確かな個体に出会える確率が高い構造です。「同じ年代でも他店より高い」と感じる古着があったとき、その背景にはディーラー経由ならではの目利きと選別が乗っているのかもしれません。
仕入れルートを踏まえると、自分はどこで買うのがいいかという視点も整理しやすくなります。
高騰下でも古着を賢く買うための判断基準


古着の高騰背景がわかると、逆に「どう選べば納得できるのか」も見えてきます。『どう買うか』より『どう眼を持つか』に視点を置くと、相場の波に振り回されにくくなります。
- 価格の波を意識しながら選ぶ
- 値付けの根拠を語ってくれる店を選ぶ
- 無名・無印の質を見る目を育てる
いずれも「実行戦略」というより、選ぶときの眼差しの話です。
価格の波を意識しながら選ぶ
相場は段階的に上がっていくもの。コレクター→SNS→雑誌→量販店の順で広がっていく波があり、後半に乗ると相場が固まった後の値段で買うことになります。「波のどのあたりにいるか」を意識するだけでも、急いで買う場面と待つ場面の判断がつきやすくなるでしょう。
値付けの根拠を語ってくれる店を選ぶ
「なぜこの価格か」を聞いたとき、仕入れ・状態・希少性で答えてくれる店は値付けが透明です。逆に「相場ですから」だけで終わる店は根拠が浅い場合があります。価格そのものより、根拠を語れる店主かどうかで選ぶと、納得感のある買い物に近づきます。
無名・無印の質を見る目を育てる
ブランド名で相場が決まる前のアイテムにこそ、掘り出し物が眠ります。生地の打ち込み、ボタンの素材、裏地の縫製。ブランドタグを見ずに服そのものを見る習慣を、ゆっくり育てていきましょう。質を見る目が育つほど、相場に振り回されず自分の選択ができるようになります。
古着の値段に関するよくある質問
古着の値段で読者からよく聞かれる5つの質問を、店主視点で短くお答えします。
- 中古なのになぜ新品より高くなるの?
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新品は今この瞬間も同じ服が製造されています。一方ヴィンテージは当時しか作られなかった素材・縫製・年代の組み合わせが現存していて、しかも年を追うごとに数が減っていく構造。「もう手に入らない一着」という希少性そのものが、新品の定価を上回る価格を支えています。
- 古着の適正価格はどう判断する?
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適正価格は年代×状態×希少性の3点で見極めるのが基本。フリマアプリやオークションで「売却済み」価格を確認しつつ、定価販売の店なら店主に値付け根拠を聞くと確実です。3点が揃わないまま高い値段が付いている場合は、過大評価の可能性も疑っていいでしょう。
- 古着屋で値引き交渉していい?
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店によって対応が分かれます。定価販売の店では原則NG。例外は記載のないダメージを見つけた場合や、店主から提案があったケースのみ。詳しいマナーは古着屋の暗黙のルールでまとめました。
- 古着の高騰はいつまで続く?
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すぐに終わる気配はないというのが現場の体感です。円安・大手チェーンの参入・フリマアプリの相場感固定が続く限り、相場は底上げされた状態で推移しそう。市場全体の動向は古着ブームは終わった?で詳しく見ています。
- 安く買う一番の方法は?
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高騰前の段階で買うこと、国内仕入れ重視の店を選ぶこと、ブームになる前の掘り出し物を狙うこと。この3つの組み合わせが現実的な答えになります。具体的な掘り方は古着の掘り出し物の見つけ方を参考にしてみてください。



店主としては「一着いくらか」より「この服の背景を知ってもらえたか」のほうが嬉しい瞬間があります。値段は理由のひとつ。背景まで含めて選んでもらえたら、店をやっている甲斐があります。
仕入れ先で出会ったヴィンテージを、LINEで先にお見せしています。
コラム公開前にLINEで先読みできます
まとめ:価格の背景を知って自分らしく古着を選ぶ
古着が高いと感じる背景には、希少性・輸入コスト・需要急増・素材の再現不可能性という4つの要因が重なっています。ブランド別ではChampion・Patagonia・Levi’sを中心に、20年前と比べて相場が大きく上がってきた現実も、ひとつひとつ理由がある動きです。
適正価格は年代×状態×希少性の3点で見極め、仕入れルートの違いを意識して店を選ぶ。安いから買うのではなく、自分が惚れ込んだ一着を、その理由ごと迎える。それが古着の楽しみだと、私自身は感じています。


